平成24年度 事業計画
1. 基本認識
我が国の景気は、昨年3月の東日本大震災の発生を受けて大幅に落ち込んだ後、現在は持ち直しに向けた動きもみられているが、海外経済減速の影響等もあり、なお横ばい圏内にある。先行きは、震災復興関連の需要が徐々に強まっていくなどで、次第に横ばい圏内の動きを脱し、緩やかな回復経路に復していくとみられるが、欧州債務問題の今後の展開、原油価格の上昇懸念といった不確実性があることには注意を必要とする状況にある。
我が国の経済成長率は、1990年代初頭のバブルの崩壊以降、趨勢的な低下を続け、現在も低迷している。この背景には、日本経済全体として、グローバル化の進展と人口の急速な高齢化という環境の大きな変化に必ずしも柔軟には対応できなかったことがある。成長率の低下が継続する状況では、企業が投資活動を抑制しようとしたり、家計も将来の所得への不安から個人消費を抑制しようとするインセンティブが生まれる。さらに、実際に企業や家計がそうした行動をとると、それは将来の成長への期待をさらに引き下げるという悪循環に繋がってしまうことになる。
成長率の低迷とも相まって、国民の安心や希望を支えてきた社会システムも揺らぎつつある。まず、高齢化の進展と人口の減少に伴い、我が国の社会保障制度の改革が喫緊の課題となっている。また、我が国の政府債務残高は、対名目GDP比で200%を超えており、財政健全化の道筋を早期に確保することも、極めて重要な課題となっている。
こうした成長力の強化と社会システムの変革を達成するためには、国民一人ひとりが、日々、自ら工夫を重ねることで成長を目指していくことが必要となる。
こうした問題意識のもと、鹿児島経済の持続的な発展を図っていくために、我々経済人が果たすべき役割は大きい。我々の地域貢献は、まず何よりも経済人の本分である「自由と規律」を醸成し、健全な競争を通じて成長していくことである。それと同時に、地方企業を取り巻く厳しい経営環境を踏まえると、我々は個々の企業の利害を離れた経済人の立場から、活発な意見交換や情報の交流を通じて地域の発展に繋がる様々な政策面での提言を行っていくことも求められている。
経済同友会では、以下のような問題意識に基づいて事業グループの委員会を組織し、諸問題の検討、提言活動に取り組むこととしたい。
鹿児島経済の成長力を高めるには、比較優位を活かした産業振興を進めなければならない。特に、高い競争力を持つ1次産業を核とした産業同士の連携が注目されているほか、歴史と自然に育まれた豊富な観光資源の活用が鍵を握る。その際には、九州新幹線全線開業のメリットを最大限に活かし、九州全域や中国・関西地方に止まらず、ターゲットとする市場を成長著しいアジア地域まで拡げていく視点が重要である。また、情報化社会では、顧客層とそのニーズも多様化、細分化し、皆が同じモノを求めるマス消費は衰退している。その中でニーズや顧客層を的確に把握して、効果的な情報発信を行うためには、ツイッター、SNSなど急速に進展する情報化の動きのフォローが欠かせない。
我々は経済人として、揺らぎつつある社会システムの再建にも大きな責任を持つ。地域活性化という観点からは、小売・流通業における競争激化や少子高齢化を含めた人口動態がもたらす中心市街地の停滞や限界集落などの過疎地域の拡大といった問題が重要である。また、深刻な財政状況の下で安心や安全のための社会ニーズを充たしていくために、地域主権・道州制などの問題について引き続き検討を行っていくほか、行政に頼らずに市民の協力や社会責任ビジネスの力で問題を解決していく視点も求められる。
教育問題と環境問題は成長の促進と社会システムの再建という双方の観点から重要である。教育については、脱工業化、知識社会への移行が進む中ではヒトへの投資が競争力の源泉となる。また、地域の社会と文化を守っていくために、知識偏重ではなく、人間性や社会性を高める教育が一段と求められている。環境は、持続可能な地球社会を作るとの観点に止まらず、我が国が歴史的に培ってきた省エネルギーに関する高い技術と関心によって新たな成長分野として期待が高まっている。

