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令和4年度 事業計画

1. 基本認識

2020年3月に世界保健機関(WHO)が新型コロナウイルス感染症の流行を「パンデミック」と宣言してから3年目を迎えたが、依然、感染症の帰趨は見通しがたい状況にある。もっとも、海外経済をみると、国・地域ごとにばらつきはあるものの、先進国のワクチン接種の進展と積極的なマクロ経済政策に支えられ、全体として堅調な回復を続けている。国際通貨基金(IMF)の見通し(本年1月公表)によれば、世界経済は、2020年のマイナス成長から一転して、昨年に続き、本年も、非常に高い成長が続くと見込まれている。ただし、ロシアによるウクライナ侵攻とこれに対する主要国による経済制裁等が世界経済や国際金融資本市場に及ぼす影響については、注意深くみていく必要がある。

 こうしたもとで、わが国の景気は、基調としては持ち直している。ただし、子細にみると、世界的な財需要の回復に伴う恩恵を受けやすいかどうか、感染拡大に伴う人流減少等を通じたマイナスの影響が及びやすいかどうか、等に応じ、持ち直しのペースには、地域間、業種間のばらつきが大きいとみられる。加えて、先に触れた世界的な需要の急速な回復は、部材や人手の不足、物流の目詰まりといった様々な摩擦を引き起こしており、これが原材料価格の上昇に繋がっている。さらに、ウクライナ情勢がこうした動きを助長する可能性にも留意が必要である。

 鹿児島経済に目を転じると、全国対比で、持ち直しの足取りは緩やかとなっている。当地は、宿泊・飲食など観光関連に加え、外食需要に応える一次産業や食品加工などのウェイトが高く、景気動向が県内外の人流と密接に連動しているためと考えられる。また、原材料価格の上昇に関しては、企業間取引を中心に価格転嫁の動きがみられるが、消費者に近い段階での拡がりを含め、業種や企業によって区々であり、先行きの企業収益への影響には留意が必要である。

 他方で、倒産や雇用調整の動きは、感染拡大に伴い需要動向が大きく左右されている企業等を含め、引き続き、目立っていない。こうした背景には、各種の公的支援策等も活用しつつ、様々な経営努力がなされているためと考えられる。

 この間、県内の魅力溢れる自然、荘厳な歴史・文化、豊かな食に関する国内外の注目をより高める出来事も相次いでいる。昨年7月、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界自然遺産登録が正式決定されたのに続き、本年2月、霧島神宮(本殿、幣殿、拝殿)が国宝に、鹿児島神宮(本殿及び拝殿、勅使殿、摂社四所神社本殿)が重要文化財に、それぞれ指定された。また、農業分野では、本年10月に地元開催が予定されている「第12回全国和牛能力共進会」において、前回大会に続く優勝への期待が高まっている。このほか、鹿児島市中心部における大型再開発案件が、順次、完工を迎えているほか、JR「磯新駅」設置プロジェクトや「スポーツ・コンベンションセンター」に関する議論も進捗しており、魅力ある街づくりや人流の活性化に向けた取り組みも着実に進んでいる。

 このように当地を巡る前向きな話題が少なくないもとで、コロナ禍を契機に生じた変化やその過程で得られた経験・知見等を前向きに活用していくことが重要である。

 特に、コロナ禍は、社会、企業、個人等におけるDXを加速する大きな契機となった。このうち企業における対応の進捗は、非接触ニーズといった、コロナ禍特有の要因だけでなく、人口減少に伴う市場規模の縮小や生産性向上への対応など、従前からの構造的な課題にも有効、との認識が拡がったためと考えられる。感染症に伴う下押し圧力は、当面、人流の停滞に繋がると見込まれるが、平時に復した際に速やかに需要を取り込むとともに、中長期的な課題に的確に対応していく観点からも、幅広い主体におけるDXの推進が必要と考えられる。

 その際、先に触れた当地の産業構造の特質も踏まえると、安心・安全や健康、また地域の歴史・食・文化への関心の高まりなど、コロナ禍に伴う消費者の意識・嗜好・行動様式等の変化についても、適切に評価し、必要な対応を図っていくことが重要と考えられる。食や歴史・文化遺産、温泉、自然など、質の高い素材に溢れる土地柄だけに、必要に応じて他地域の取り組みも参考にしつつ、訴求力を一段高め、それらの魅力を最大限、効果的に引き出していきたい。

 併せて、コロナ禍に伴い、地方の社会・経済のサステナビリティが、従来に増して求められるようになっている点を十分に踏まえた取り組みも不可欠である。

 この点、ダイバーシティの推進は、労働力の確保・繋留や企業イメージの向上という視点に止まらず、創造性や柔軟性の発揮など、経営力や企業価値を一段高めていくものと考えられる。また、個人の多様性を受容し、活躍の場を広く提供していくことは、ひいては地域社会の活性化にも資すると期待される。コロナ禍に伴い、人々の働き方や居住地等に対する意識も変容しつつあるとみられるだけに、この分野での取り組みを強力に推進していく意義は大きい。

 併せて、気候変動対応というグローバルな潮流も看過できない。関連する議論は、炭素税や電源構成など、国の政策レベルに止まらず、商品のライフサイクルやサプライチェーン全体で脱炭素化を目指す動きが強まっているほか、環境負荷の軽減に向けた幅広い議論も進んでいる。地域、業種や企業によって、影響は区々と考えられるが、課題の所在や大きさ、中長期的な対応のイメージ等について検証し、自らの立ち位置を固めておくことが求められる。対応コストは無視できないとみられる一方、環境配慮等に対する社会一般の目線が急速に高まってきている点にも改めて目を向ける必要がある。また、こうしたグローバルな動きを商機と捉える余地がないか、といった観点も重要と考えられる。

 こうした認識のもと、鹿児島経済同友会は、産業活性化、魅力ある郷土づくり、交流人口創出、教育・人材育成、環境・エネルギー、先端技術研究、ダイバーシティの各委員会を設け、諸課題の検討・提言に引き続き取り組んでいく。特に、「DXを活用した鹿児島振興」をテーマに掲げ、横断的かつ重層的な議論等を行い、建設的な提言を試みる。これらを通じ、鹿児島経済の飛躍に向けた礎を築いていけるよう、取り組んでいくこととする。

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